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ポルタティーフ・オルガン製作記 Making Portative Organ No.9

<<パイプの調製に四苦八苦です>>

今日、たまたま、整音してるところに、チェンバロ製作のS氏が立ち寄りました。
オルガンは、ポジティブなどでも、特に2Feet、4Feetは、気温に敏感で、ステージのお客さんの入り具合での温度変化にも反応してしまい、とても大変な楽器だ、と言ってました。
(チェンバロとポジティーフを一緒に使う演奏会では、もう、半分成り行きで、あきらめるしかないとのこと。
気温が上がると、チェンバロはピッチが下がり、オルガンと管楽器は上がってしまいます。
全音域が均等に動いてくれれば良いのですが、チェンバロの場合、真鍮弦、燐青銅、アイアン(鉄)と、材質でピッチの動き方が違いますし、オルガンの場合、木管と金属管では、勿論違ってきます。)

そうなんです、確かに、気温が僅か数℃変わると、さっき合わせたオクターブが、もう取れなくなってきます。
そもそも、この工房の作業室を、終日(仮に)摂氏20℃に保って調製するのは困難です、というより不可能です。
これでは、いつまで経ってもキリがつきません。パイプを切ったり、継ぎ足したりを繰り返すようでは、埒があきません。

ポルタティーフ・オルガン製作記 Making Portative Organ No.9_e0064847_2111356.jpgそこで、急遽、パイプをゲダクト(閉管)にしようと思い始めました。ゲダクトなら、開口部に栓を取り付けて、これを移動することによって調律するので、各テンペラメントに設定できます。
ただし、管長がほぼ決まってしまったので、栓を付ける分、実効長が短くなるので、392Hzのティーフ・カマートンは断念です。
ピッチは440Hzで、開管のオクターブ下になります。
もともと、オープン・ディアパーソンの前提での設計なので、閉管にすると鳴りにくいパイプも出てくると思いますので、再度調製しなくてはいけないでしょう。

【教訓】
開管のポルタティーフ・オルガンは、音域がせいぜい1オクターブ半が手頃かもしれません。そうすれば、ウインド・チェスト内部の風路のレイアウトも余裕がでて、風路の断面積もたっぷりとれ、風量が十分に確保できて、音量もだせるでしょう。



詳細は「古楽器を作ろう」へ

Commented by tnysatcmo at 2007-03-16 20:57
なんかとっても難しいけど、面白いですね。
気温が上がると、チェンバロはピッチが下がってオルガンはあがるんですね〜。
いつか合わせる機会のためにメモメモ。(そんな機会は訪れるのだろうか〜?)
Commented by チッチの父 at 2007-03-18 22:24 x
>tnysatcmo さま
ピッチに関して言えば、気温が上がると、弦楽器、ピアノなど、弦を張った楽器はすべて下がります。そして金管、木管類はすべて上がります。
その点、声楽の人は楽ですよね。瞬時にピッチが変えられますものね!!
Commented at 2012-08-26 14:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by cicci2cicci at 2012-09-03 07:37
>藤井晋也 さま
記事を読んでくださってありがとうございます。
制作工程は、「楽器を作ろう」に、順を追って載せております。
http://web1.nazca.co.jp/cicci3cicci/index.html

これから制作なさるんですか?
どうぞ、なんなりとお聞きになってください。
私のWEBサイトから、メールを下さっても結構ですよ。
Commented by 藤井です。 at 2012-09-18 00:12 x
コメント頂戴しておりましたにも関わらずチェックが遅れまして失礼しました。
メールの件もありがとうございます。
サイトの方も拝見させて頂きます!
by cicci2cicci | 2007-03-15 20:49 | ☆Portative Organ | Comments(5)

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