人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Estasi di santa Cecilia 

楽器は大切に扱いましょう・・・

この絵は、ラファエロ・サンティの「聖セシリアの憂鬱」Estasi di santa Cecilia というタイトルの有名な絵ですが、チェチーリアが天使の歌声を聴いて、地上の音楽は天上の音楽はかなわないことを悟って楽器を踏みつぶした、ということらしいのです。
第一、天上の音楽は器楽を使ってないし!
なにも天上と地上の音楽を比較することはないと思いますが・・・・なんて狭量なんでしょう(笑い)

さてここからが私の独自推理です。
この絵が制作されたのが1518年。
一方、ドイツでは1500年初頭に宗教改革の火種がくすぶり始め、あのマルティン・ルターが1517年にローマ教会に強烈な抗議文を叩きつけたことをきっかけで宗教改革の嵐が吹き荒れます。

ところで、カトリックでは教会内での聖歌を歌う際、器楽は禁止です。いまでもそうです。
一方、ルターのプロテスタント派は教会での楽器の使用を推奨し、これがルネサンス、バロック音楽の大きな流れとなっていきますが、この絵はいわばローマカトリック教会のプロパガンダとしての意味合いが強いのでないかと思います。
なんだか、あの「焚書坑儒」を連想してしまいます。

音楽家と盲人の守護聖人とされるチェチーリが、この絵のようにヴィオラ・ダ・ガンバ(多分)を踏みつぶし、ポルタティーフ・オルガンまでも放り投げようとしています。
音楽愛好家には相当なショックではありますネ。

Estasi di santa Cecilia _e0064847_18191080.jpg


by cicci2cicci | 2017-10-29 18:19 | 音楽全般 | Comments(0)

庵月工房の日々、音楽、楽器のことなど・・・


by cicci2cicci